顔が見えるお客様を「特定多数」にしたら、商売にやりがいと利益がもたらされる

カフェ クルミドコーヒー を経営する影山知明氏が著者の本です。

タイトル:ゆっくり、いそげ
サブタイトル:カフェからはじめる人を手段化しない経済

序盤は影山氏の経営に対する思いではじまり
だんだんと経済哲学へと進んでいきます。

不特定多数と特定少数の間には「特定多数」があるのではないか?
ここを客層に育てることができたら
理想と現実を両立できるのではないかという意見に
私も小さな店舗を経営しているからか激しく共感しました。

自分の商売を、こうしたいああしたいと私も思うのですが・・・
影山氏の文章を読んでいると
自分の化けの皮がはがれ
安物ペンキがぼろぼろとはがされ
・・・あぁ、自分はずかしい・・・と感じます。

理想と現実を両立させることはできるのか?

人の中にはいろんな人格があります。
資本主義で殺伐とした人格も
人の間に生まれる良い意味での負債に心地よさを感じる人格も
両方が一人の中に存在しています。

私の店舗のお客様は全員「善い人」です。
それは、私の店にいるかぎり、善い人として対応するからです。
お客様に勝つことだけが販売の方法ではないと
読みながら思い返していました。

大資本ではなく、小さな範囲で
深く豊かにいきる。

昨日まで支配されていた資本主義だけが経済じゃない。

ただ物を仕入れて並べても売れない時代です。
どうしたらいいかを深く考える手引書としてもおすすめの本です。
小さな商売でも希望を持てます。

片づけの解剖図鑑

一級建築士が、家を設計するという観点から書いた「なぜ散らかるのか?」の本です。

「片づけの技術論や、精神論以前の大問題を建築的に解剖した」と
裏表紙側の帯に書いてあり興味を引かれてよみました。

自分の家に当てはめながら読むと
身につまされ、ブロックのように家を壊して建替えたくなります。

そしてこの家を建てた(設計した)大工さんを呪いたくなります。
「どうして教えてくれなかった?!」と。
まぁ。実際は大工さんも設計士に依頼したと思うので
「設計士でてこい!」とも叫びたくなります。

一読者としては
このように気軽に読めるわけですが・・・
これを自分の商売に置換えてみたら
一瞬で真っ青になるくらい気分が悪くなります。

だって・・・
商売は売り手が専門家で
買い手は素人なのですから。

責任重大でしょう?!
自分の商売商材が、お客の人生日常において
どう取り扱われるんだろう?って考えておくべだと
この本を読んで痛感しています。

例えば、私がピアノ屋さんだったら
家庭におけるピアノの晴れ舞台は30年に一度めぐってくるから
そのサイクルを知ることが新規購入や引取りや中古をすすめるべき
売り時タイミングが読めるとわかります。

例えば、私が神棚屋や仏壇屋だったら
家の間取りから髪だな仏壇を設置するのにぴったりな場所を見つけ
それは100%ピッタリという場所はないので
その場合どうするか?みたいな相談受付の案内や
ブログで紹介したりするだろうな。

例えば、私がタンス屋だったら・・・
即効業種変えを考えるかもね。

例えば、私がペットショップ屋だったら
腰痛防止対策グッズを売るな^^;

例えば、私が布団屋だったら
リビング用こたつ布団を販売するでしょう。

その理由は、ぜひ本を読んで探して欲しいのですが
専門家とは、自分の商品商材を買ってもらった後に
お客にどんな日常があるのかを如実に想像できるべき!
だと分かります。

売れればいい
売りっぱなしで買ってもらった後のことなんて想像したことない?
それは・・・お客から恨まれます。

私たちは物を売っているのではない
買った後の生活の変化を買ってもらっているのだ。
と、心せねば。

難しいことは置いておいても
読むと家を建て替えたくなる一冊かもしれません。